コンテンツ

“さんしろう”住まいづくりの原点

f6-1.jpg

"青の洞門”紅葉の季節は特に美しい

人が生活していく上で欠かせない衣・食・住、その1つ住まいの創造について興味があり、建築設計事務所を創立してはや25年。

大分県の国定公園耶馬溪に生まれ、大自然に事欠かない。春は吸込まれそうな新緑、初夏、清流にゆれる木漏れ日、盛夏は暑かったが木陰は以外に涼しかったことを思い出す。

秋は又格別、菊池寛の小説「恩讐の彼方に」の舞台“青の洞門”がある。
傍を流れる山国川に映る紅葉がきれいで、自然庭園そのもの。
冬は結構雪が降る、子供の頃の記憶では50cm位積ったこともあった。
田舎で生活は大変だったが、季節の事象みんな好きだった。

妻の実家が屋久島の海沿いに有ってたまに行くことがある、色々癒される場所があるが、なかでも私はその実家の縁側で潮騒を聞きながら、まどろむのが至福の時だ。

私の住づくりの原点は、この辺に有るような気がする、よく「私の屋敷廻りは、家が建込んでいて面白いものは何もない」と言われる。でもじっくり考えてみると結構有る。昼は太陽、夜は星、雨も降り、リズミカルな雨音が聞こえたりする。雨上がり水たまりの日の反射が、和室の杉板天井にゆれたりもして、それを畳に大の字になって見上げるのも面白い。

そんな事を思い描き楽しみながら、夢を理想のカタチに出来たら、きっと愛着の世界にオンリーワンの“我が家”が見えてくるはず。

一級建築士 椛田三市郎(かばた さんしろう) 2011.10